公益財団法人
あきた移植医療協会
理事長 羽渕 友則(秋田大学医学系研究科長、医学部長、腎泌尿器科学講座教授)
2024年4月、新年度の始まりとともに、秋田大学医学部附属病院で脳死下の臓器提供があり、心臓・肺・肝臓が他県で移殖され、腎臓は私ども秋田大学医学部附属病院で無事移殖が行われました。
臓器提供された患者さんのご冥福をお祈りしますと共に、ご家族、関係者のみなさまには心痛極まりない状況でのご英断により、国内4人の患者さんの命が救われたこと、心から敬意を表します。
今回の脳死下臓器提供は、県内では2例目にあたり、実に24年ぶりのことでありました。24年前とは、状況や環境も大きく変わっており、前例を選考にすることもままならず、県内初の状況に近いものとなりました。
臓器提供から移殖には、多様なフェーズや場面、状況の中で多数の『チーム』が形成され、目的に向かって進むことになります。今回の脳死下臓器提供においても様々な場面において、県外からの医師を含む多くの『チーム』が作られ、リーダー、フォロワーが協力して進んだことに、お礼と感謝を申し上げます。またそこには、当協会のスタッフも大きな貢献を果たしたことは言うまでもありません。
いずれにしても、新年度早々の落ち着かない中で、救急部や麻酔科の先生方をはじめ、事務方、看護師、検査技師、臨床工学技士等々にとって、未経験の脳死下臓器提供というストレスが最大限の中、たいへん上手く進めていただいたことに大いに感動しました。
ところで今でこそ、脳死下の臓器移植もスタンダートな医療になりましたが、現在、スタンダートとされる医療や医学知識のほとんどが、最初は研究や研究的な医療から始まっています。現在の医学における未解決の問題や現象、医療における困難な状況を打破するには、研究を行って前に進めていくしかないことを改めて感じました。
明日の医学や医療の進歩のために、医療従事者だけでなく広く県民のご協力やご理解が必要であり、私ども医療提供者は、その賛同を頂けるよう、情報の提供と共有に向けた努力を惜しんではいけないと感じています。
「あきた移植医療協会協会だよりVol.19 」より抜粋
法人沿革
- 1995年
- 財団法人秋田県臓器移植推進協会設立
- 2005年
- 財団法人秋田県アイバンクと統合、財団法人あきた移植医療協会と名称変更
- 2013年
- 公益財団法人あきた移植医療協会と名称変更
- 2019年
- アイバンク設立から50年